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旧製品カタログをわざわざ電子ブック化!?実は有力コンテンツになる可能性も

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コストをかけて制作した製品カタログも、製品自体が古くなってしまうと、一般的には流通させる必要がなくなり、人の目に触れる機会は少なくなります。ですが、製品や業種によっては「旧製品のカタログを見たい」という一定のニーズが残る場合もあります。そんな時、カタログを増刷するよりも手軽なのが、電子ブックの形で旧製品カタログを公開しておく方法です。

※トップ画像クレジット:
© Drobot Dean – Fotolia.com https://jp.fotolia.com/id/103504582

旧製品カタログにはさまざまなニーズが

旧製品のカタログがWeb上で見られるメリットは、さまざまなケースが考えられます。
例えば、機械・機器などの場合はメンテナンスや交換部品の発注などさまざまな面で貴重な資料となりますし、カメラやパソコンといったコンシューマ製品の場合は、中古機購入の参考にしたり、それ自体を魅力的なコンテンツとして楽しむユーザーもいることでしょう。

旧製品カタログをWeb上で公開している、各社の実例を見てみましょう。

往年のパソコン名機がずらり――シャープ「GALAPAGOS STORE」

シャープの電子書籍ストア「GALAPAGOS STORE」内に設けられた「電子書籍で復刻!レトロ家電カタログ」コーナーには、シャープのMZシリーズやX68000など、往年のパソコン名機のカタログがずらりと揃っていて、会員登録をすれば無料で閲覧できます。しかも、シャープ製品に加えて、PC-8800、PC-9800シリーズなどNECの製品カタログも公開されています。

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(出典:GALAPAGOS STORE

ラインアップは70年代の製品から揃っていて、おそらく印刷版カタログの入手は困難なはず。もはや歴史的資料とも言えるカタログ群は、80~90年代からパソコンに触っていた人にとってはなつかしい資料ではないでしょうか。

このように、旧製品カタログ自体が魅力的なコンテンツとして機能すれば、サイトへの集客や会員の増加につなげることも不可能ではないでしょう。

中古車購入時に役立つ旧モデルカタログ――トヨタ自動車

自動車業界では過去から現在まで一貫して、数多くのカタログが作られています。何十年とモデルチェンジを重ねているロングセラーモデルはもちろん、最近発売された車種でも細かいモデルチェンジの度にカタログの内容が更新されたりします。

トヨタ自動車のWebサイトでは、2001年から現在までのあらゆるモデルのカタログを検索・閲覧できるサービスを提供しています。カタログは膨大な冊数があるのですが、ボディタイプやモデル名、年式など、複数の検索機能が利用できるので、お目当てのカタログを探しやすくなっています。

試しに、ワンボックス「アルファード」の、10年ほど前のモデルを探してみました。
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(出典:http://www.toyota-catalog.jp/catalog/

カタログを見ると、当時のモデルに込められたコンセプトがよく分かりますし、設定されているオプションや、ボディサイズなどの各種スペックもまとめてチェックできます。気になる中古車が見つかった時、こうやって詳細をチェックできるのは、ユーザーにとってかなり嬉しいはずです。
自動車以外でも、耐用年数が比較的長く、かつ中古市場で流通する製品であれば、このような旧製品カタログへのニーズがあるかも知れませんね。

愛用者の多いワコムのペンタブレット、初代モデルから閲覧可能

ワコムのペンタブレットは、多くのクリエイターが愛用している入力ツールの一つです。なかでも、上位モデルの「Intuos」シリーズはモデルチェンジを重ねているにもかかわらず、旧モデルをずっと愛用しているクリエイターも数多くいます。
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(出典:http://www.wacom.jp/jp/products/products_old/

ワコムのWebサイトでは、各製品の旧製品カタログを取り揃えて公開しています。Intuosも初代モデルから閲覧可能です(表紙のビジュアルに時代を感じたりもします)。

ワコムのペンタブレットは、多機能であるにもかかわらず、ユーザーが必要な機能だけを自分の使いやすいようにカスタマイズできるのが特徴。カタログを見ると、「こんな機能もあったのか」と気づくこともあります。
もちろん、豊富なオプションや替え芯などの消耗品の型番を確認する上でも大切な資料です。長く愛用される製品だからこそ、旧製品カタログの価値も高まってくるというわけです。

新製品が次々と出るPC製品。日本エイサーはサポートページでカタログを公開

日本エイサーのサイトでは、PCやスマートフォンなど各種製品の旧モデルについて、サポートページでカタログを公開しています。ノートPCでは、2008年頃までのモデルまでさかのぼって閲覧できます。
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(出典:http://www2.acer.co.jp/support/download/catalog.html

PCに採用しているインターフェイスや搭載CPUなどのスペック、オプションなどをチェックするには、こうしたカタログがとても便利です。
PC製品は、メーカーによっては1年に2回新モデルを発表するなど、モデルチェンジのサイクルが早く、買って1年もすれば「旧製品」になってしまうことも。ちょっと前の製品カタログにすぐアクセスできるようにしておくことは、ユーザーサポートの一環でもあるわけです。

古い機械のメンテナンス資料にも――日清紡ポスタルケミカル

業務用ラベルプリンターなどの製品を提供している日清紡ポスタルケミカルのサイトでも、旧製品のカタログが公開されています。
なかには、1991年の製品カタログも。
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(出典:https://postal.e-manager.jp/book-search/category-list/schCategoryNum/13

こちらも時代を感じさせるデザインですが、もしこのモデルを現在でも大切に使っている事業所であれば、メンテナンスやマシントラブルなどの際に、こうしたカタログが貴重な手がかりになるはずです。
また、これだけ古いモデルのカタログをきちんと公開すること自体も、製品を大切に使ってくれるユーザーへの真摯な姿勢として受け止められ、好感度が高まるのではないでしょうか。

ユーザーとの新たな接点を生み出す可能性も

以上のように、旧製品のカタログはさまざまな形でユーザーとの接点を生み出す可能性があります。
ご紹介したケースの多くはPDFファイルをそのまま公開していますが、日清紡ポスタルケミカルさんのようにデジタルブック形式で公開すれば、読み込みも閲覧もより快適になり、利便性がさらに高まるでしょう。

また、旧製品カタログから電子ブックを作成する場合、比較的新しい年代のカタログならデザインデータからPDFを書き出すなどして簡単に作成できますが、カタログの制作時期が古いものでは、デザインデータが手元になく、保存された印刷物からスキャンせざるを得ないケースも考えられます。

ただ、古いカタログの資料的価値が大きいものなら、紙の色あせやホチキスの跡などが残っていたとしても、ユーザーにとってはさほど気にならないはずです。あなたの手元にも、貴重な資料となるカタログが眠っていませんか?


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佐藤勝

佐藤 勝Writer

ライター/編集者/何でも屋。トマトが好物。IT、Web、デザイン、アート、映像などクリエイティブ関連の記事や企業のコンテンツなど、文字を書く仕事を中心に、色々やらせていただいております。

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