使いやすいデジタルカタログは、デジタルアーカイブの価値を高める?
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現在、さまざまな用途で使われているデジタルカタログですが、歴史的資料や雑誌のバックナンバーなどのデジタルアーカイブを閲覧する仕組みとしても、デジタルカタログが採用され始めています。貴重な資料を世界中の誰もが利用できるデジタルアーカイブはとても意義のあるものです。いくつかの実例を見てみましょう。
まず最初は、新星出版さんの『オキナワグラフ』。沖縄がまだアメリカの統治下だった1958年に創刊され、現在も刊行されている写真ニュース誌です。
(出典:http://okinawa-ebook.wook.jp/)
沖縄で発行される印刷物を電子書籍にして発信するポータルサイト「沖縄eBooks」内に、創刊から1984年までの貴重なバックナンバーが揃い、ブラウザ上で購入手続きをすると各号の全ページを読むことができます。
(出典:http://okinawa-ebook.wook.jp/)
PCから閲覧する場合は、ブラウザ上でスムーズに操作できます。操作もきわめてシンプルで分かりやすいです。
当時の沖縄の人びとの暮らしが分かる貴重な資料ですし、広告なども当時の沖縄の需要や流行を想像することができて、とても興味深いですね。
続いて、宮崎県・高鍋町の歴史を記録する資料を閲覧できる『高鍋町アーカイブス』。宮崎県内で発行されている広報や観光案内、フリーペーパーなどを無料で閲覧できる「宮崎ebooks」内に設置されているものです。
閲覧できるのは、高鍋町の広報誌約400冊と町史約1,200ページ、要覧など。デジタルカタログはPCブラウザ、スマートフォン・タブレットからは専用アプリを使って閲覧する仕組みです。
(出典:http://www.miyazaki-ebooks.jp/archive/?page_id=6069)
近世時代の町史を閲覧してみました。冊子をまたいで検索できる一括検索機能などのほか、広報誌の四コマ漫画だけを集約してブック化するなど、ちょっとしたお楽しみコンテンツも。郷土史に興味のある人はもちろん、地域の教育活動や出版物制作などの資料としても活用できる資料ですので、デジタルカタログで無料で見られるのは大変意義のあるものです。
こちらは海外ですが、バチカン美術館内のバチカン図書館が所蔵する貴重な手書き文献が昨年からデジタルアーカイブで公開されています。
(出典:http://digital.vatlib.it/ja/collection)
制作には日本のNTTデータが協力していることもあって、日本語表示にも対応しています。1448年に設立のバチカン図書館に収蔵されている手書き文献は約8万冊、約4000万ページにものぼるそうで、今後は検索機能の拡充や、文献コンテンツの順次追加が予定されているそうです。
(出典:http://digital.vatlib.it/ja/collection)
こうした一点ものの手書き文献は約8万冊あり、厳重な管理のもとに保存されているのですが、やはり劣化が進んでいるため、解読が不可能になる前にデジタルアーカイブ化することが求められていたそうです。
このように、一般の人が本物を見ることは極めて難しい資料でも、PCやスマートフォンなどで誰でも閲覧できるようになれば、元の資料を損なうことなく、より多くの人に人類の貴重な財産を利用してもらえることにつながります。それを閲覧するデジタルカタログの操作が初心者にも分かりやすく、快適に動作するようであれば、デジタルアーカイブとしての価値はさらに高まるはずです。
ただ、デジタルアーカイブであれば何でもデジタルカタログを使えばいいというわけではないようです。
日本の「ゼンリン・バーチャル・ミュージアム」がその一例です。
(出典:http://www.zenrin.co.jp/zvm/)
ゼンリン地図の資料館に収蔵されている国内外の古地図のなかから、特に歴史的価値があり、面白みのあるものをセレクトし、昨年11月に公開されました。現在のところ、1595年の日本島図や、1570年のアジア新図、江戸初期の1606年の日本地図などが閲覧できます。
(出典:http://www.zenrin.co.jp/zvm/)
冊子ではなく一枚の地図ですので、めくって見る機能は特に必要というわけではありません。拡大・縮小・移動がスムーズにできた方が便利ですよね。同サイトでは、地図の拡大・縮小・移動が直感的にできるようなデザインになっています。見せたい資料の形態や内容に応じて、適切な表現や規模に見合ったコストのツールを選ぶということになりそうですね。
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