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作り方・コツ

敬老の日のプレゼントに!祖父・祖母の文章を一冊の本にする方法

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今年の敬老の日は9月15日。おじいちゃん、おばあちゃんの自伝や日記などの文章を立派なハードカバー本にして、サプライズでプレゼントしてみてはいかがでしょう? 私たちが実際に作ったプレゼントの実例に沿って、作り方をご紹介したいと思います。

私たちが実際につくったプレゼントは、パートナーの祖父が書いた小説作品。
「沖縄のおじい、小説書くのが趣味なんだけどさ、これを立派な本にしてプレゼントしたら、おじぃ喜ぶだろうな」
「一冊くらいならオンデマンドでできるんじゃないかな。二人で作ってみようか?」

こんな感じの会話から本づくりの企画が始まりました。
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原題は『沖縄の可笑しい神様』で、どこかファンタジーな雰囲気の物語なのですが、若い世代の読者にも読んでもらえるような本にしたいとの思いから、タイトルを『ウチナーカミサマ』にし、ハードカバーの立派な装丁で、書店に並んでいても違和感のない仕上がりを目指すことにしました。

1. 原稿を入力

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まずは、手書きの原稿をひたすら入力していきます。
戦前生まれの方だけになかなか達筆で、文字を読み取るのに苦労します。送り仮名の使い方も戦前の文法だったりするので、最初のうちは大変ですが、慣れると意外に早く正確に読み取れるようになってきます。

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打ち込んだ原稿は、一度出力して誤字・脱字などをチェックしていきます。せっかく本にするなら、ミスは極力なくしておきたいところです。

2. 印刷業者を探す

同時進行で、1冊からでも書籍の印刷・製本をしてくれる業者を探します。
印刷通販サービスなどで対応してくれるところはたくさんあるのですが、想定したサイズのハードカバー製本に対応してくれるところがなく、知人の紹介で大学のそばの製本屋さんにお願いすることにしました。

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卒業論文や個人出版の製本や印刷を専門にしているエルビーエスさんです。自費出版のサンプルを見せてもらいましたが、このくらいのクオリティならいいものができそう。

初めてお願いする業者さんなので、実際に足を運んで相談し、入稿用データの仕様や原稿サイズをなどをしっかり確認。デザイン作業に取り掛かります。

3. 本文をデザイン

本文は、Wordでもきちんと設定すればきれいにレイアウトできますが、今回は Adobe InDesignで本文のデザインを行いました。
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図書館にある本を何冊か参考にしながら、
「オールドスタイルの明朝体の方が、物語の雰囲気に合うかな?」
「活版印刷の本みたいに、字間と行間、余白をゆったりと取ってみよう…」
といったふうに、デザインを検討します。

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一般的な文芸書のように柱とページ番号を入れ、さらに本文の下にゆったりとスペースを作って、沖縄独特の用語や人名などについての注釈を入れることにしました。

4. 表紙・カバーをデザイン

続いて、本の「顔」となる表紙とカバーをAdobe Illustratorで作ります。まず、製本業者さんと確認した各所のサイズに沿って線を引き、デザイン案を作成。パートナーが沖縄に行く飛行機から撮影した空の写真を背景に、タイトルロゴは明朝体にし、リズム感のある造形にデザインしました。

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よくハードカバー本についている帯もつくることにしました。
表紙側には、見た人が興味を持ちそうなキャッチを入れ、裏表紙側には本文の一部を抜粋して入れました。

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コピー用紙で出力して組み立ててみて、見た目の印象や全体のバランスを確認します。ここで違和感があればデザインを修正します。

5. 印刷が完了

データが完成し、いよいよ印刷へ。
本文のデータは製本屋さんにデータ入稿し、カバーと帯は街の出力センターでカラー出力を依頼しました。
仕上がってきた本がこちらです。

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ハードカバー表紙のタイトルロゴ部分に金の箔押しが施されています。卒業論文の製本によくあるスタイルですが、小説作品でもいい雰囲気になりますね。

そして、カバーと帯も仕上がってきました。
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今回はちょっと高級な紙をチョイスしました。ハードカバー本の風合いとマッチすれば良いのですが。
さっそく手作業でカバーと帯をつけてみます。
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10冊分を2人で手分けして作業しました。カバーの紙が厚めなので、きちんと折り目をつけてから装着した方が綺麗に仕上がります

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こうして、おじいの本『ウチナーカミサマ』が完成しました。かかった費用は1冊あたり3600円程度。少部数なら現実的な予算で制作できそうです。

できた本はおじい本人以外に親戚にも配ったほか、知り合いのお店にも置いてもらうことになりました。

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背中はこんな感じ。

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帯とカバーの相性もばっちり。
沖縄旅行を兼ねておじいの家に行き、サプライズでプレゼントしたのですが、とても喜んでもらえて大歓迎を受けました。

その後『ウチナーカミサマ』は、沖縄県内の書籍や雑誌などを電子書籍で配信している「沖縄ebooks」さんの好意で、電子書籍版を公開していただきました。
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本の中身に興味のある方は、こちらのページから無料で読めますので、ぜひご覧下さいませ。
(PCからはブラウザでそのまま、モバイル端末からは、画面上の指示に従って無料の閲覧アプリをインストールしてご覧ください)

いかがでしたでしょうか?
ここまでこだわった本づくりは、初心者の方にはちょっとハードルが高いかも知れませんが、Wordなどのオフィスソフトでも、通販印刷のお得なプランを上手に使えば、クオリティの高い書籍を安価につくることが可能です。
通販印刷を利用した印刷物制作の記事も参考にして下さい)

おじいちゃん、おばあちゃんの書いた文章は、ジャンルが何であれ、ご本人にとって大切な思い出や思想などが詰まっているもの。それが一つの作品になってプレゼントされれば、きっと何よりも嬉しいはずです。

そして、大切な家族の喜ぶ顔を想像しながらものづくりをするのはとても楽しいものです。
興味がわいてきたら、ぜひ、チャレンジしてみて下さいね。


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佐藤勝

佐藤 勝Writer

ライター/編集者/何でも屋。Web、デザイン、映像、アート、観光などの記事執筆や、企業・団体のコンテンツ制作など、色々やらせていただいております。 INSPIでは、生活やビジネスに役立つものづくりの情報から、面白スポットやまちづくりまで、さまざまなテーマの記事をお届けします。
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