2014年電子出版EXPO・東京国際ブックフェアで見つけた注目のサービス
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こんにちは。7月初めに東京国際ブックフェアと国際電子出版EXPOが開催されました。昨年の記事に続き、ちょっと足を運んできましたので、電子出版そのものにこだわらず、面白そうだなと思ったサービスについてご紹介したいと思います。
第18回 国際電子出版EXPOは、第21回東京国際ブックフェア(TIBF)」などのイベントとあわせて、東京ビッグサイトで7月2日〜4日の3日間開かれました(TIBFは5日まで)。
まずは、昨年に続いて出展している「Japan ebooks」のブースへ。
日本の各都道府県に一つずつ、自治体の広報や観光情報、地域情報誌などを集めて電子書籍で発信する地域特化型のポータルサイトを運営。それらのサイトが集まって相互に交流・協力を行うサークルが「Japan ebooks」です。
このことは昨年の当ブログの記事でも紹介していますが、前回出展の段階で全国10箇所だったのが、1年経った現在は…
なんと17箇所に!
西日本から東北まで、地図で見ると壮観です。北海道や福岡も新たに加わり、日本全国の観光情報源としても、充実してきそうに感じます。
また、インパクト抜群の墨の題字は、書家・武田双雲氏によるもの。
「Japan ebooks」ブランドを全国に広げていくために、ぜひ力強い書を。そんな思いを込めて依頼したところ、プロジェクトの趣旨に賛同いただいた上で書きおろしてもらったそうです。
これらのサイトの担い手は、それぞれの地域に根ざした印刷会社。もともとは、宮崎県の広報誌や観光案内などを集めて無料で発信する「miyazaki ebooks」として始まった活動ですが、そのビジネスモデルを共有したいという全国の有志により、全国17箇所に広がったものです。
いったいどんなビジネスモデルなのかは前述の当ブログの記事参照いただくとして、こうした活動を通して自治体とのつながりが深まり、最近では印刷会社と自治体が協力して全国に向けたオリジナルコンテンツを制作・発信しようという動きが広がっています。
元祖「miyazaki ebooks」は、宮崎市の広報誌の制作・印刷を受注し、この5月から「市広報みやざき」をリニューアル発刊。「miyazaki ebooks」サイトでも、動画やお楽しみコンテンツを追加した電子版を発信。市民からのアンケート回収が従来の27倍になるなど、さっそく成果を挙げています。
それまで、地域内だけを対象に発行していた広報誌や地域情報誌を電子書籍化するだけでなく、「japan ebooks」を通じて地元の情報を全国に発信するためコンテンツが求められるようになってきたのだと考えられます。
近い将来、「Japan ebooks」が全国の半分以上の都道府県に広がってくると、政府・自治体はもちろん、出版・観光など産業界も無視できない存在になってくるのでは……「Japan ebooks」の活動には、大きな可能性を感じます。
さて、TSUTAYAで紙の本を買うと電子書籍も無料でついてくるサービスが6月30日に発表され、注目を集めています。協業パートナーとして電子書籍の配信を担うBookLive!さんのブースでは、コンセプトムービーで 本の購入時にTカードを提示すると、カードの会員情報に基づいて処理が行われ、その場で電子書籍が閲覧可能に。煩雑な手続きなどが少なく済むことも重視しているそうです。
年内のサービス開始を目指して準備中で、当面の間は電子書籍がもらえる本とそうでない本が混在した状態が予想されるそう。これから対象となる書籍をどんどん拡大させていきたいとのことです。
実は、BookLive! さんのブースでもう一つ気になったサービスが。
電子書籍が無料で読めるWi-Fiスポットサービス「BookLive! SPOT」です。喫茶店に置いてある雑誌やコミックのように、誰でも気軽にスマートフォンやタブレットで電子書籍を読むことができるもの。実際に体験してみましたが、スマホをアクセスポイントにWi-Fi接続してブラウザを立ち上げると、そのままコンテンツを読み始めることができ、会員登録やパスワード入力などは不要。利用者からお金をもらうのではなく、飲食店などの店舗や施設に販売してスポットを設置するビジネスモデルです。
コンテンツ配信や導入促進はこれからとのことですが、電子書籍の利点をうまくサービスに取り入れて、お店の集客やコンテンツの販促などに役立つのではと期待しています。
今回、「電子出版EXPO」のコンテンツゾーンで、ストックフォトサービスのフォトリアさんのブースに出会いました。
今回の展示の注目ポイントは、世界中のクリエイターがモバイル端末からアップした写真を集めた「インスタントコレクション」。
通常のストックフォトよりもっと気軽で身近、のびのびとした雰囲気だけれど、クリエイティブで面白さのある写真が多いのが特徴です。
写真データはiOSとAndroid用の専用アプリからアップされているので、画像サイズも大きくはないのですが、その分、利用料金も安め。
このインスタントコレクションは、やたらと高画質な写真は少ないのですが、見ていて楽しくなるような、特徴ある作品ばかり。
「電子出版EXPO」の会場に出展されていましたが、Webサイトやブログなどのコンテンツで、閲覧者の目を引くアイキャッチ画像などに使えそうです。
他にもたくさんのブースにお邪魔させていただいたのですが、今回は電子出版の枠にとらわれず、Web・インターネットのビジネスとして面白そうなものをピックアップしました。
今年の「国際電子出版EXPO」は、昨年よりも出展社数が減り、
「日本の電子書籍は盛り下がってる?」といった噂も聞こえましたが、実際は大手の会社のブースが「東京国際ブックフェア」の方に出展し、そこで電子出版ビジネスを展示していたりもしましたし、展示全体を見ても、電子出版の技術面というよりも、電子出版の仕組みを使って、どんなビジネスや活動をするか、といった展示が多かったように思います。
電子出版ブームというものが良い意味で「落ち着いてきた」と見ることもできますし、電子出版のしくみが広く知られるようになってきた結果、「出版」といえども、本質はインターネットでのビジネスととらえる向きが多くなってきたのかも知れませんね。
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