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【ビジネス書類をきれいに作るコツ(2)】文字並びをきれいに調整

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こんにちは。前回の記事に引き続き、美しいビジネス文書を作るコツをご紹介していきたいと思います。今回は、ひと手間かけるだけでビジネス文書が読みやすくなる、文字レイアウトのテクニックです。

1. 「MS」と「MS P」の違いって何?

ところで、Wordなどで文書を作っていると、MS 明朝やMSゴシックと似た名前で、「MS P明朝」「MS Pゴシック」というフォントもよく見かけます。Pがつくものとつかないものの違いはご存知でしょうか?

MS明朝は、全ての文字が同じ横幅に設定されています。比較的小さめの字形である「っ」や「ゅ」、符号の「。」なども全て、通常の漢字やかななどと同じ横幅なのです。
一方、MSP明朝の方は、文字の形に合わせて横幅が最適化されています。MSPのPは「プロポーショナル」のことで、それぞれの文字ごとに文字幅の情報を持ち、文字が並んだ時に自動的に字間を詰めて表示できるようになっています。「っ」や「ゅ」といった小さな字形の文字は横幅が狭くなります。

両方を並べて比べてみましょう。

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MS明朝ではところところ、文字と文字の間のバランスが崩れているところが見られますが、MSP明朝では、文字が適度に詰められ、バランスの良い並びになっています。

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ゴシック系のフォントでも同じで、MS ゴシックよりもMS Pゴシックの方が、文字がきちんと詰まっている分、きれいな文字組みになっているな、という印象を与えることができます。

ただ、どんな場面でもMS Pフォントを使った方がよい、ということではありません。
例えば、商品などのリストや数字を並べる場合には、文字幅が一定であった方が判読しやすくなります。

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リストと数字それぞれの桁が揃っているので、確認すべき内容が読み取りやすくなります。
どちらのフォントが優れているということではなく、用途に寄って使い分けるのが良いでしょう。

前回に続いてフォント選びの話になってしまいましたが、フォントを選ぶことで文字の詰め方も手軽に変えられる、というわけです。

2. 文字の詰め具合を調整する

さて、ここで前回の記事で作成したサンプル文書を使って、タイトル文字の詰め具合を調整してみましょう。

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まず、タイトルをMS P明朝にしてみました。
文字が詰められてきれいに並びましたが、初期状態のままでは間隔が狭すぎて、ちょっと不要な緊張感が感じられます。ちょっと字間を広げる調整をしてみましょう。

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タイトル文字を選択して右クリック、[フォント]を選択します。

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[詳細設定]で、[文字間隔]の設定ができます。プルダウンメニューの[広く][狭く]あるいは、数値で設定します。試しに、[広く]を選んでみました。

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ほどよく字間が広がり、少し緊張感が和らぎました。読みやすさも問題ないですね。

但し、この方法は必ずしも万能というわけではありません。
字間を広げると、緊張感が緩和され、読みやすさも向上すると思いきや、MS P明朝のまま字間をさらに広げていくと…

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かえって、文字の詰め具合がバラバラになってしまいました。
こうした場合は、全て等幅のMS 明朝の方が良いかも知れません。

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そこで、フォントをMS 明朝にして字間を広げてみました。間隔がほぼ均等になったことで、かえってすっきりと読みやすくなりました。

ただ、「ネット」の「ッ」が小さい分、そこだけ字間が大きすぎるようにも見えます。さらに微調整してみましょう。

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「ッ」の前後の幅を少し詰めると、バランスが良くなりそうです。そこで、「ネッ」の2文字を選択して、先ほどと同様に右クリックして[フォント]を選択。

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[文字間隔] を0.8 ptに縮めてみました。

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微妙な調整ですが、均等に文字が並んだように見えますでしょうか?(上が調整前、下が調整後です)

まとめると、
(1) 文字をきっちり詰めて見せたい時はプロポーショナルフォント(MS P明朝など)を使う
(2) 内容の可読性を重視する場合は等幅フォント(MS 明朝など)を使い、字間を適宜調整する

といったセオリーになります。

このように、文字の並びや間隔調整に手間かけることで、美しく読みやすい文書を作ることができます。企画書やプレゼン資料のタイトルなど、最初に目に入るところに工夫を凝らして、パッと見た印象を美しく仕上げたいところです。こうした技術を、デザインの世界ではタイポグラフィと呼んでいます。

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実際、プロのグラフィックデザイナーが書籍や雑誌の表紙をデザインする時には、タイトル文字の間隔を1文字ずつ丁寧に調整しています。これはこれでとても深〜い世界なので、タイポグラフィ興味がわいてきたら、身近にある雑誌やフリーペーパーなどの見出しをぜひ観察してみて下さい。

このシリーズの他の記事はこちら
【ビジネス書類をきれいに作るコツ(1)】フォント選びのすすめ

【ビジネス書類をきれいに作るコツ(3)】ルールを作りアキを揃える

【ビジネス書類をきれいに作るコツ(4)】色を上手に使い分ける


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佐藤勝

佐藤 勝Writer

ライター/編集者/何でも屋。Web、デザイン、映像、アート、観光などの記事執筆や、企業・団体のコンテンツ制作など、色々やらせていただいております。 INSPIでは、生活やビジネスに役立つものづくりの情報から、面白スポットやまちづくりまで、さまざまなテーマの記事をお届けします。
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