【ビジネス書類をきれいに作るコツ(1)】フォント選びのすすめ
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一見、グラフィックデザインとは無縁のように思えるビジネス文書ですが、すっきりと見やすく、文字の印象が美しくなるようレイアウトされた文書であれば、伝えたいことがより伝わり、好感も持たれるはずです。今回は、ビジネス文書に最適なフォント選びについてご紹介したいと思います。
6種類ものフォントを使って、それぞれの情報を強調してみました。ちょっと極端な例ですが、さすがにこれだけ多くのフォントが混在していると、違和感があります。
何よりも、どれもこれも強調するばかりで、どこが最も重要な情報なのか、何を伝えたいのかがパッと見ただけでは分かりません。ビジネス文書の役割を果たせるかどうかという点では、まずいフォント選びの例ということになります。
1. 基本はやはり明朝とゴシック
ビジネス文書は、かしこまった相手に真面目な内容を伝えるケースがほとんどだと思います。そんな内容を表現するのには、やはりオーソドックスな明朝とゴシックのフォントが無難です。
試しに、明朝フォントだけで文書を組んでみました。
すっきりしすぎている感はありますが、先ほどの例よりは読みやすいですね。
次に、ゴシックのみで組んだ例です。
決して悪くはないのですが、全部ゴシックだと、何だか野暮ったい印象です。
これらの2つの書体はそれぞれ、WindowsやOfficeソフトでおなじみの、「MS ゴシック」と「MS 明朝」です。
同じサイズでも、MS ゴシックの方が大きく、強く見えますね。
次に、本文はMS 明朝にし、見出しをMS ゴシックにしてみました。
明朝だけで組むよりも、見出しがはっきりと見えるようになりました。
明朝のなかでゴシックを適切に使うことで、優先的に読ませたいところを強調できるのです。
文章の一部分を強調する方法として、強調したい部分だけを書体を「B(太字)」に変えるという方法もあるのですが、MS 明朝を太字にしても、印刷して見てみると大して印象が変わりません。
強調したい部分だけをゴシックに変える方が、強弱がはっきりして効果的です。
2. 太めのフォントは、見出しで使う
Officeソフトの明朝/ゴシック系フォントには他にも、「HG明朝E」「HGP創英角ゴシック」「HGコゴシックE」といった書体があります。
これらを選んでも良いのですが、どれも少し太めの書体になります。例えば、HG明朝E で本文を組んでみると…
ちょっと強すぎて、どぎつい印象になってしまいました。読みやすさの点でもいまいちです。
こうした太めの書体はやはり、見出しに使うとはまります。MS 明朝の線の細さとの対比で、見出しの方をより強く見せることができます。
3. 強弱をきちんとつけることが大切
このように、「強」と「弱」をはっきりさせることが、読みやすい書類を作る上でとても重要です。
文書を見る人の視点では、ぱっと見て印象の強いものがまず目に入り、次に強いものへと順に読んでいくのが自然な流れです。
当然、一番最初に伝えたい大事な部分を最も強くして、2番目に重要なものはやや弱く、3番目のものはさらに弱く…と優先順にそって調整し、読者の視線を誘導してあげる方が、読みやすい文書になります。あれもこれも強調してしまうと、せっかく手間をかけて作っても、肝心の内容がうまく伝わらないという結果になりかねません。
今回の例でいうと、
(1)最も重要な点=消費増税に伴い、価格表示を変更する
(2)2番めに重要な点=価格表示は具体的にこうなります
(3)その他お伝えしたいこと=価格表示の理由の詳細はかくかくしかじかです。
ご面倒をおかけしますが、よろしくお願いします云々
といったことが伝われば良いわけですから、
(1)最も重要な点=HGP創英角ゴシック
(2)2番めに重要な点=MS ゴシック
(3)その他お伝えしたいこと=MS 明朝
これらのフォントの組み合わせで強弱をつけてみると、こうなります。
忙しいビジネスパーソンに読んでもらう文書ですから、「消費増税で価格表示が変わります。具体的にはこうなります」ということが端的に伝われば、まずはOKでしょう。
フォント選びを工夫するだけでも、読者の視線を誘導して、意図したとおりに情報を伝えることが可能になります。
さらに、文字や行の間隔や、文字サイズの強弱などを調整することで、効果をさらに高めることができます。それらのテクニックについても、次の機会にご紹介したいと思います。
この記事の続きはこちら
【ビジネス書類をきれいに作るコツ(2)】文字並びをきれいに調整
【ビジネス書類をきれいに作るコツ(3)】ルールを作りアキを揃える
【ビジネス書類をきれいに作るコツ(4)】色を上手に使い分ける
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